祝2025年ノーベル賞 受賞!②物質の「見えない仕組み」を解き明かす

役立つ知識

祝2025年ノーベル賞 受賞!②物質の「見えない仕組み」を解き明かす

2025年、二人の日本人科学者がノーベル賞を受賞しました。

今回は北川さんの研究について紹介したいと思います。

北川進さん(化学賞)
分子を“積み木”のように組み合わせた新しい物質の創造者

背景

北川進(きたがわ・すすむ)さんは1949年京都府生まれ。京都大学名誉教授で、物質の性質を原子・分子のレベルから作り出す研究をしてきました。
2025年、ノーベル化学賞を「金属有機構造体(MOF:Metal–Organic Framework)の開発」で受賞しました。

私たちの暮らしに欠かせない材料――電池、触媒、薬、センサー、二酸化炭素の吸収剤――それらの基盤になる“分子の家”を設計するのが北川さんの研究です。

発見:分子の「空間」をデザインする

北川さんは、1990年代に「金属イオン」と「有機分子(リガンド)」を組み合わせて、無数の小さな空洞を持つ結晶構造体をつくることに成功しました。
この構造は、まるで分子の積み木のように設計でき、空洞の大きさや形を自由に変えることができます。

これが「金属有機構造体(MOF)」と呼ばれる新しい物質群です。
MOFは表面積が非常に大きく、1グラムでテニスコート数面分もの内部空間を持ちます。
その中にガス分子や化学物質を吸着させることで、二酸化炭素の回収・貯蔵、水素エネルギーの貯蔵、薬の放出制など、環境・エネルギー・医療の分野で応用が期待されています。

研究の進化と世界への広がり

北川さんは、MOFを「自在に設計できる材料」として発展させました。
構造を分子レベルで変えることで、ガスの吸着性、反応性、電気伝導性などを思い通りにコントロールできるようになりました。
現在では、MOFは世界中の研究者によって開発・改良され、数万種類以上が合成されています。

また、近年では、MOFを使って二酸化炭素を“再利用”する技術や、水から水素を効率的に取り出す触媒の開発にもつながっています。
北川さんの研究は、地球温暖化の解決策や持続可能な社会の実現にも直結するテーマへと広がっています。

受賞後のコメント

ノーベル賞受賞の知らせを受けた北川さんは、京都大学での会見でこう語りました。

「まさか自分が選ばれるとは思っていませんでした。
でも、コツコツと研究を続けることが一番大切だと改めて感じます。」

また、研究の本質について次のように話しています。

「MOFの魅力は、“空間をつくる”という発想です。
物質を組み合わせるだけでなく、空間そのものをデザインする。
それが新しい機能や可能性を生み出すのです。」

北川さんは、研究の楽しさと好奇心を忘れずに「自由な発想で挑戦し続けてほしい」と学生たちに呼びかけています。

まとめ

北川進さんが発見した**金属有機構造体(MOF)**は、「分子を組み合わせて“空間”をつくる」という新しい化学の発想を生み出しました。
MOFは、エネルギー貯蔵、環境保全、医療など幅広い分野に応用できる次世代の材料です。

坂口さんが「生命のバランス」を見つけたように、北川さんは「物質の空間」をデザインしました。
どちらの研究も、目に見えない世界のしくみを理解し、それを人の未来に活かすという共通の精神に貫かれています。

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