会社員が副業した場合の税金とは?メリットや注意点を紹介
近年、副業を行う会社員が増えてきましたが、副業収入にも税金がかかることをご存じでしょうか?副業で得た収入は給与所得とは別に課税対象となり、所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。さらに、副業の種類や規模によっては「事業所得」として認められる場合があり、経費の計上や特別控除を活用することで税負担を軽減することが可能です。
しかし、節税のためには副業を計画的に行い、安定した収益を継続的に得ることが求められます。本記事では、副業の税金についての基本知識に加え、会社員が活用できるメリットや注意すべきポイントについて詳しく解説します。税金の仕組みを理解し、賢く副業に取り組むための参考にしてください。
副業をすると税金関連でのメリットはあるのか?
副業には、所得税や住民税における控除や経費計上といった税制上のメリットがあります。しかし、これを主目的とした副業はリスクを伴います。副業において得られる収入を軽視し、税金対策に過度に依存する場合、税務当局から「悪質な節税」と判断され、罰則の対象となる可能性があるためです。副業の目的はあくまで収益を上げることであり、税制上の優遇はその副次的な利益として享受することが大切です。
まずは副業で利益を得るために必要なスキルや知識を磨き、事業としての収益性を高めることに注力しましょう。そのうえで、節税のための知識を身に付け、適切な経費計上を行うことが賢明な方法です。
副業をする際の税金関連のメリット
ここでは副業をする際の税金関連のメリットについて紹介していきます。
青色申告特別控除が受けられる
青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、青色申告を行う個人事業主や不動産所得者が利用できる所得控除の制度です。申告内容と条件に応じて、65万円、55万円、または10万円の控除が適用され、課税対象の所得金額からこの控除額を差し引くことができます。
たとえば、65万円控除を受ける場合、所得金額から65万円を差し引くことで課税対象の所得が減少し、結果として所得税や住民税の負担が軽くなります。65万円の控除を受けるには、電子申告や複式簿記の記帳、貸借対照表の提出など、一定の要件を満たすことが必要です。
一方で、要件を満たせない場合は55万円、簡易な記帳で申告する場合は10万円の控除が適用されます。
純損失の繰越し
純損失の繰越し制度は、事業や投資で損失が生じた際に役立つ税制上のメリットです。例えば、ある年に赤字となった場合、その損失を翌年以降に繰り越し、3年間にわたり利益と相殺することができます。具体的には、赤字を翌年の所得から差し引くことで所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があり、特に事業を継続する上で資金繰りの助けとなります。
ただし、純損失の繰越しを適用するためには確定申告が必要です。特に赤字を出した年度に申告を怠ると、繰越控除の適用が認められなくなるため注意が必要です。また、繰越しの期間が3年間であることから、計画的に損失を活用することが重要です。この制度を有効に活用するには、収益の予測と適切な申告手続きが欠かせません。純損失の繰越しを上手に使うことで、事業活動の安定化に役立てましょう。
損益通算ができる
損益通算とは、所得の計算で生じた損失のうち、特定の損失を他の所得から差し引くことができる制度です。不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得で赤字が発生した場合に限り、他の所得と合算して課税所得を減少させることが認められます。
これにより、赤字を出した所得の分だけ税負担が軽減されることがあります。例えば、不動産投資で赤字が発生した場合、その赤字を給与所得などから差し引いて税負担を抑えることができます。ただし、サラリーマンが損益通算を利用する場合、事業所得として認められるには、副業が一定の規模で行われている必要があります。
また、株式の譲渡損失や山林所得の赤字も損益通算の対象ですが、特定の順序に従って計算されるため、損失を計上するには一定の条件が求められます。
副業をするにあたっての税金での注意点
以下では副業をするにあたっての税金での注意点について紹介していきます。
事業所得として認められる事業を展開する
サラリーマンが行う副業に事業性が認められると、その収入は事業所得や不動産所得として扱われ、経費の計上が可能となるなど、税制上のメリットが生まれます。しかし、事業と見なされるにはいくつかの条件を満たす必要があります。主な判断基準として、「安定した収入が継続的に得られていること」「一定の時間を副業に充てていること」、さらには「その活動が職業として認知されていること」があります。
これらの条件を満たしていないと、副業で得た収入が雑所得とみなされ、事業所得としてのメリットを享受できなくなる可能性があります。特に利益が出ていない場合や、活動が短期的であれば、事業性が否定されるリスクが高まります。そのため、副業としての事業活動には計画的に取り組み、安定した利益を継続して得るよう努めることが大切です。
一定の事業的規模を満たした不動産投資をする
不動産投資において、家賃収入が「事業的規模」と認められるためには、一定の基準が存在します。具体的には、アパートやマンションの場合は10室以上、貸家の場合は5棟以上が基準とされています。これにより、事業所得として損益通算が可能となり、税務上のメリットを受けられます。
ただし、この基準を満たしていない場合でも、受け取る賃料が地域の相場より高額であるなど、収入の規模が大きい場合には、税務署に相談することで事業的規模と認められる可能性があります。税務署では個別の事情を考慮した判断が行われるため、室数や棟数に届かないからといって諦めず、積極的に相談することが望ましいです。
不動産投資の規模を事業的にすることで、節税効果を得やすくなり、経営の安定にもつながります。
副業で確定申告する際に大切なこと
ここからは副業で確定申告する際に大切なことについて解説していきます。
複式簿記にて記帳する
55万円の青色申告特別控除を受けるためには、まず、不動産所得または事業所得が発生する事業を営んでいることが条件です。さらに、取引の記帳を複式簿記で行い、その内容に基づいて貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告書に添付して申告期限までに提出する必要があります。これらの要件を満たすことで、55万円の控除が認められます。
一方で、控除額を65万円に引き上げるためには、追加の要件が設けられています。具体的には、当該年の仕訳帳や総勘定元帳を電子帳簿で保存するか、確定申告書および必要書類をe-Taxを利用して期限内に提出することが求められます。このように、青色申告特別控除は適切な記帳や提出方法により控除額が変動するため、要件をしっかり把握して対応することが重要です。
期限内に確定申告をする
確定申告の提出期間は通常、毎年2月16日から3月15日までと定められています。ただし、災害や特別な事情がある年には、例外的に申告期限が延長されることもあります。確定申告の方法には、税務署に直接出向いて書類を提出する方法と、インターネットを利用した「e-Tax」での電子申告があります。
e-Taxを利用すると、税務署に行かずに手続きを完了できるため、近年では利用者が増加しています。しかし、申告期限が近づくと、税務署もe-Taxのサポート窓口も非常に混雑する傾向にあるため、できるだけ早めに準備を進め、余裕を持って手続きすることが推奨されます。
早めに申告を行うことで、疑問点を税務署に確認する時間を確保しやすく、スムーズに申告が完了するでしょう。
まとめ
会社員が副業を始めると、給与所得とは別に副業の所得も課税対象となります。副業の収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。副業収入が「事業所得」として認められると、経費計上や青色申告特別控除が可能になるため、税負担を軽減するメリットがあります。
しかし、利益が継続的に得られない場合や、事業としての活動が不十分な場合には「雑所得」として扱われ、控除の恩恵が受けられなくなる点には注意が必要です。税制のルールをしっかり理解し、正確な申告を行うことで、副業の収益を安定させ、節税を図ることができます。
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[取材・編集 KROW編集部]
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