フリーランスが直面する悩みや問題とは何か? アウトソーシングの雇用形態を解説
コロナ禍による働き方改革やリモートワーカー需要により、フリーランスが注目を集めています。しかし、精神的、経済的プレッシャーなど、心配なこともたくさんあります。フリーランスのデメリットを軽減するには、事前の準備と決意、知識が必要です。この記事では、フリーランスの契約やビジネス形態、メリット・デメリットなどを紹介します。
フリーランスの雇用契約「アウトソーシング」とは何か?
企業の従業員は、入社時や就職時に直接雇用契約を結んでいれば働き続けることができます。しかし、フリーランスは企業と何らかの契約を結びます。フリーランスの求人を行う際によく使われる「業務委託契約」という言葉です。
しかし、民法上は「業務委託契約」という契約書は存在しません。民法では、契約には「契約」「委任(準委任)」「雇用」の3種類があります。業務委託契約には、一般的に「請負」と「委任(準委任)」と呼ばれる2種類があります。フリーランスとして仕事を請け負う際に使用される契約書「請負」と「委任」の特徴と違いについて解説します。
請負契約
請負契約とは「完成した製品を約束の期日までに納品すること」で完了する契約であり、この契約では請け負った仕事を完了することが義務となります。
納品状況や納期遅延の決定内容は契約内容によって異なりますが、契約した仕事が約束した状態で完了せず、納期までに納品できない場合には補償が支払われない場合があります。 プロセスよりも結果が求められる契約と言えるでしょう。
委任契約(準委任契約)
委任契約とは「約束された仕事を約束の期間遂行する」ことで完了する契約です。
結果の良し悪しに関係なく、働いた対価として報酬が支払われます。たとえ発注者の希望するレベルに到達できなかったとしても、契約違反にはなりません。
委任と準委任の違いは、その業務が法律行為であるか否かによって決まります。例えば、弁護士などの特定の士業が行う業務は委任され、法律活動に関係のないコンサルタントが行う業務は準委任となります。
請負契約と委任契約の違い
結果責任を追う契約書で契約するか、結果責任を追わない委任契約で契約するかは非常に重要です。契約書と弁護士契約の違いのわかりやすい例は弁護士です。弁護士が訴訟委任契約を結ぶと、依頼者のために最善を尽くしますが、たとえ裁判で勝てなかったとしても責任を負うことはできません。
フリーランスの場合は、請負契約を極力避け、委任契約(準委任契約)を利用することが一般的です。業務委託契約であっても、どの契約であるかが分かるように契約書名を明確に書面に記載する必要があります。
結果がクライアントの期待に沿うものであれば、外注費の支払いをめぐって争いが起こる可能性は低いでしょう。ただし、結果について議論する場合には、契約書の内容が判断材料となりますので、契約書に請負契約が含まれているか、委任契約が含まれているかには十分注意する必要があります。
フリーランスの働き方「常駐型」と「リモート型」
2019年4月に施行された働き方改革関連法によりワークライフバランスが注目されており、新型コロナウイルスの影響により「働き方」そのものが話題になる機会が増えています。 フリーランスというと、ノマドワーク(時間や場所に制限されない働き方)でどこでも働けるテレワーク(リモートワーク)の先駆けというイメージを持っている人も多いかもしれません。
実は、フリーランスは参加するプロジェクトの内容に応じて、フルタイム、リモート、あるいはその両方など、さまざまな働き方があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
常駐型
「常駐型」とは企業のオフィスに常駐して、そこで働く従業員と同じように出勤する働き方です。プロジェクトによっては、専用のデスクがあり、チーム メンバーと一緒に作業する場合があります。 クライアント企業の関係者と対面でコミュニケーションが取れるため、疑問や不安がスムーズに解決され、仕事を進めやすいというメリットがあります。
業務改善やシステム導入、新規事業の立ち上げなど、クライアントとの細かなコミュニケーションが必要な場合や、現場で直接改善やサポートが必要な場合に適しています。セキュリティ対策を徹底している企業では、情報漏洩を防ぐために常駐型システムを採用している場合が多いです。
通常、正社員の場合、契約期間中はクライアント企業の営業日に出勤(=稼働率100%)するケースが多いです。契約期間中の稼働率は安定していますが、サラリーマンと同じ働き方を求められるため、窮屈に感じてしまうのがデメリットです。
正社員の場合、クライアント企業に入り込んでサポートするため、現場や関係者からの生の情報や意見が得られやすく、将来的に有利です。一方で、常に顧客の前にいるため、常にプロフェッショナルな態度で行動することが求められます。
リモートタイプ
もともとコンサルタントなどのハイクラス人材のフリーランス採用は正社員のニーズが比較的高い傾向にあります。しかし、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令以降、リモートワークの傾向が高まっています。
「リモートスタイル」とは、場所を選ばない働き方です。比較的小規模なプロジェクトやチーム体制を必要としないプロジェクトの場合は、リモートワークが最も可能性が高いでしょう。 労働時間についても、コアタイム以外の裁量労働、完全フレキシブル、与えられた仕事をこなせば何時間でも働ける仕事などさまざまです。
現在、コロナウイルスの流行は「ポストコロナウイルス」と呼べるまでに沈静化しています。 しかし、現在でも直接雇用契約社員、業務委託契約社員ともにリモート体制を導入している企業は多くあります。
リモートタイプで勤務時間も自己裁量・フレキシブルであれば、必要な仕事さえこなしていればあとは自由なので、家事や育児・介護、趣味などに割く時間が増えます。フルタイム型に比べて、ワークライフバランスを保つことができます。このような背景から、フリーランスとして独立する女性が増えています。
本来通勤に費やしていた時間を仕事や自分の勉強に充てることができ、企業側としてもオフィス維持に必要な家賃や光熱費が削減でき、浮いた経費を従業員に還元することができます。
フリーランスのメリット
昨今、雇用契約を結んでいる会社員でもリモートワークが一般的になってきており、フリーランスとして働くことにメリットを感じていない人もいるかもしれません。 改めてフリーランスのメリットを紹介したいと思います。
自分に合った仕事を選べる
会社員として働いていると、上司や会社から与えられた仕事をこなすのが一般的です。ただし、アウトソーシングの場合はプロジェクト単位で契約を結ぶため、仕事を受けるかどうかは自分で決めることができます。仕事や契約の性質によっては、交渉するか断る選択肢があるかもしれません。
「その仕事は自分に合っているか?」「自分のスキルやキャリアプランとマッチしているか?」を基準に仕事を選ぶことができ、強みを発揮し、自分を磨くことができる仕事や働き方を提供します。
フリーランスのデメリット
「フリーランス」は会社員よりも自由度が高い反面、業務を外部に委託するためデメリットもあります。フリーランスになることのデメリットを見てみましょう。
労働法は適用されない
雇用契約に基づく労働者の場合は労働法上の保護の対象となりますが、業務委託契約の場合は労働者ではなく個人事業主となります。自営業であるため、労働法は適用されません。そのため、法的な労働時間制限(1日8時間、週40時間)はなく、有給休暇や残業の概念もありません。また、業務委託先であるフリーランス労働者に対しては、企業は賃金規制や解雇規制の対象となりません。
さらに、労働保険などのセーフティネットもありません。会社から(法律に基づいて)突然契約を解除され、失業した場合でも、失業保険は受給できません。女性や妊婦のパートナーであっても、産休や育休がなく、その間の収入が保障されないため、会社員に比べて不利な立場にあります。
また、すべての責任は自分にあるため、自分に不利な契約を結ばないよう契約内容には注意する必要があります。
フリーランスの仕事はありますか? 悩みや心配事にどう対処するか
こうしたフリーランスのデメリットは、独立する前やプロジェクトに参加した時点で準備しておく必要があります。
フリーランスの悩みを解決する方法を紹介
不安定な働き方に対し、自らの対策を講じる
独立や起業を考えている人は、フリーランスになる前から運転資金を貯めておきましょう。国や自治体の助成制度の活用も検討してみることをおすすめします。雇用保険や個人事業主向けの特別労災保険への加入を検討しましょう。
独立後に必要なスキルやノウハウを身につけてから起業するのも良いでしょう。コンサルタントやエンジニアなど、特別な資格が必要ないIT関連の仕事でも、持っている資格によってもらえる求人数やオファーは異なります。独立する前から試験条件を満たす資格をできるだけ多く取得しておきたいと考えています。
納税申告や保険に関する相談先を決める
確定申告や社会保険料の申請には一定の時間と労力がかかります。仕事を効率化するには工夫と知識が必要です。経済的に余裕があるのであれば、税理士に依頼するのも一つの選択肢です。
「freee」「やよいの青色申告 オンライン」「マネーフォワード クラウド」など、一部の機能を無料で利用できる会計ソフトには、相談チャットなどの機能も備わっています。
また、業務上の災害に備えて労災保険に加入することもできます。 特別加入制度に加入し、保険料を支払うことで、仕事中に負傷したときの治療費や休業補償などの給付金が受けられます。
横のつながりを大切にする
現在の仕事と同じ業界や類似した業界で起業する場合は、独立後に取引や情報収集をしたい場合に備えて、事前に人脈を作っておきましょう。起業する業界にもよりますが、副業OKの企業に勤めている場合は、週末に起業するなどの工夫も有効かもしれません。
独立する前であっても、セミナーや異業種の食事会に参加したり、昔の知人や友人にフリーランスとして起業を考えていることを伝えることが大切です。
大手マッチングエージェントに登録する
フリーランス向けのマッチングエージェントは、会員のフリーランス人材の中から各企業が求めるスキルを持った人材を企業に紹介し、条件交渉を行います。会員登録、履歴書提出、担当エージェントとの面談を経て、参加プロジェクトの求人に繋がるというのが大まかな流れです。 こういったマッチングエージェントに登録すると、スキルや希望に合った仕事を紹介してくれるので、登録しておいて損はありません。
まとめ
問題点やデメリットもありますが、充実感を重視するならフリーランスという働き方もあります。
フリーランスは培ったきたキャリアやスキルが報酬に直結する仕事です。契約内容によっては会社員よりも自由度が高く、やりがいのある働き方になることもあります。
一方で、すべてが自己責任となる厳しい世界でもあります。デメリットや悩みがつきやすい働き方でもあります。まずは税金や保険についてしっかりと理解し、独立・起業する前にフリーランスとして継続的な業務委託契約を結ぶにはどうすればよいかをしっかり考えていきたいと思います。
会社員としての年収とフリーランスとして受け取る報酬を必ず比較し、契約時に仕事内容、期間、関わり方、報酬額などの詳細をクライアントと明確にしましょう。
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[取材・編集 KROW編集部]
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