電子帳簿保存法:データ保存で経理を効率化!改正内容も含めて解説
1. 電子帳簿保存法の目的と歴史
1‑1 制度の背景と経緯
- 電子帳簿保存法は1998年に施行され、会計帳簿や取引書類の電子保存を可能にする仕組みとして発展しました。
- 2022年の改正で、電子取引のデータ保存が義務化され、猶予期間を経て2024年1月1日以降は完全義務化されました。
- 2025年には中小企業向けの要件緩和・支援強化策が導入され、クラウド利用やスマホ対応など実務対応が容易になっています。
1‑2 制度の区分と目的
1. 電子取引:請求書や見積書などの電子データの保存が義務化。
2. 電子帳簿等:会計ソフトで作成した帳簿の電子保存は任意。
3. スキャナ保存:紙文書を読み取って保存する制度も任意。
目的は、経理のDX化による効率化と、帳簿管理負担の軽減です。
2. 各制度の詳細と最新状況
2‑1 電子取引(義務化)
- 2024年1月以降、電子メール添付ファイル・EDI・クラウドサービスなどで授受した帳票は電子保存が絶対条件です。
- 保存の不備があると、青色申告取り消し・重加算税(最大35〜40%)・会社法による過料が課される可能性があります。
- 2024年改正では、検索要件の緩和措置が導入されました。売上高5,000万円以下の事業者は書面化でもOK等の猶予措置があります。
2‑2 電子帳簿等保存(任意)
- 会計ソフトで作成した帳簿を電子保存する場合、検索機能・訂正削除履歴・相互関連性の確保などの要件が求められます。
- 「優良電子帳簿」に認定されると、過少申告加算税5%軽減措置が利用可能。2024年に対象帳簿範囲が見直され、必要な帳簿に限定されました。
- 2025年以降では、重加算税免除要件付きシステムを事前届け出すれば、将来的(2027年~)に重加算税が免除される制度が整備されます。
2‑3 スキャナ保存(任意)
- 紙文書をスキャンして保存する場合、重要書類は2ヶ月以内、一般書類は要件緩和等のタイムスタンプ要件が見直されました。
- 解像度・白黒カラー・相互関連性の要件も緩和され、スマホ保存での対応もしやすくなっています
3. 申請・届出の現行フロー
制度 | 申請/届出の必要性 |
---|---|
電子取引 | 届出不要(完全義務化のため) |
電子帳簿等保存 | 届出不要。ただし優良電子帳簿制度を利用する場合は、事前に届出書の提出が必須 |
スキャナ保存 | 通常は届出不要。過去分重要書類を保存する場合のみ税務署に届出が必要 |
4. 保存要件のポイント
4‑1 電子取引
- 改ざん防止処置(タイムスタンプ、履歴管理等)、検索性、操作マニュアル等の備え付けが義務。
- 売上高5,000万円以下の事業者や経過措置の利用者は柔軟な対応が認められ、検索やタイムスタンプ要件が免除される場合があります 。
4‑2 電子帳簿等保存
- 訂正・削除履歴の残る会計システムの使用が求められ、真実性と可視性の確保が必要。
- JIMMA認証等、信頼性のあるシステム利用が推奨されています。
4‑3 スキャナ保存
- 重要書類はカラー/解像度200dpi・タイムスタンプ(最長2ヶ月)・相互関連性の確保必須。
- 一般書類は解像度条件やタイムスタンプ等が緩和されました。
5. 今後の動向(2025年以降)
- 重加算税免除制度(2027年1月開始予定):指定システムを事前届け出れば、要件満たせば改ざんあっても免除。
- 青色申告特別控除の緩和(2027年):65万円控除を受ける要件に電子取引保存が追加されます。
- e‑Tax添付書類対応(2028年~):白黒画像やJPEG形式の添付が可能となり利便性が向上。
6.メリットと導入のポイント
- 紙書類保管コストの削減、テレワーク対応の強化、不正防止と税務調査の安心感などのメリットがあります。
- システム導入時は、JIMMA認証の有無、会計ソフトやOCR・タイムスタンプ機能、ユーザービリティも確認が重要。
- 国税庁・税務署の窓口、自治体や専門家の支援サービスを活用し、中小企業支援策を活かすことが望ましいです。
まとめ
2024年以降、全事業者に電子取引の保存義務が発生し、2025年の要件緩和により中小企業でも導入しやすい制度設計となっています。
2027年以降の重加算税免除や青色控除枠拡大に向け、早期に対応体制を整えることで、ペナルティ回避や業務効率アップも期待できます。
▶ 必要な対応は、
- 保存対象(電子取引・帳簿・スキャン)を整理
- 関連システムの選定と導入
- 必要な届出・タイムスタンプ運用のルール整備
- 社内マニュアル整備・研修実施
今から着実に準備を進めることが、2027年以降の恩恵を享受するための鍵です。
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[取材・編集 KROW編
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