個人事業主における開業届とは?メリットや注意したいことも解説
個人事業を始める際にまず検討したいのが「開業届」です。これは、税務署に事業を開始したことを届け出る書類で、提出することで得られるメリットが多くあります。特に、青色申告ができるようになるほか、事業用の銀行口座を開設する際の証明書としても役立ちます。
しかし、一方で注意すべき点もあり、失業手当が受けられなくなることや、扶養から外れる場合もあります。この記事では、開業届の基本やメリット、注意点を詳しく解説します。
個人事業主における開業届とは?
「開業届」とは、個人でお店や仕事を始めたことを税務署に知らせるための書類です。
正式な名前は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業届は必ず出さなければいけないわけではありません。 しかし、「青色申告」という特別な方法で税金の手続きをしたい場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と一緒に税務署に提出する必要があります。
提出するときには、マイナンバーや本人確認ができる書類も必要です。 忘れずに持って行きましょう。開業届には、税務署に出すものと、都道府県税事務所に出すものの2種類があります。
税務署に出す書類は、一般的に「開業届」と呼ばれています。これを出す期限は、開業してから1ヶ月以内ですが、遅れても罰はありません。最寄りの税務署は、国税庁のホームページで調べられます。 開業届の用紙は、インターネットからダウンロードするか、税務署で受け取れます。
個人事業主が開業届を出すメリット
ここでは個人事業主が開業届を出すメリットについて解説していきます。
青色申告での確定申告ができる
青色申告をするためには、「青色申告承認申請書」と「開業届」を提出しなければなりません。青色申告は、白色申告よりも税金を少なくできる可能性があるので、もし青色申告をしたいなら、決められた期限までに必ず開業届を出しましょう。
事業用の銀行口座が開設可能
個人でお店や仕事を始めるとき、「開業届」を出すと、そのお店の名前(屋号)で銀行口座を作ることができます。もちろん、普段使っている銀行口座を仕事でも使ってもいいですが、屋号で口座を作ると、取引先(お客さんや他の会社)からの信頼が高くなることがあります。
さらに、仕事用の口座とプライベート用の口座を分けておくと、お金の管理が簡単になります。銀行口座を作るときに必要な書類は銀行ごとに違いますが、「開業届」のコピーを求められることがよくあります。屋号で銀行口座を作りたいと思ったら、あらかじめ「開業届」を出しておくと安心です。
職業の証明ができる
「開業届」とは、個人でお店や仕事を始めるときに出す書類です。この書類を提出すると、仕事をしていることを証明するために使えることがあります。たとえば、クレジットカードを作るときには、「どんな仕事をしているか教えてください」と聞かれることがあります。そんなときに、開業届のコピーを出すと、仕事をしている証拠になります。
会社で働いている人(サラリーマン)は、会社から社員証や証明書をもらって仕事をしていることを証明できます。でも、個人で働いている人やフリーランスの人は、そのような証明書がありません。だから、開業届のコピーを使って自分の仕事を証明することができるのです。
オフィスの契約や融資の審査に使うことができる
「事業を始める際に、何が必要か?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。特に、店舗を構えたり、事務所を契約したりする必要がある場合、準備すべき書類や手続きが増えてきます。
さらに、事業を大きく展開したいと考えている方にとって、創業融資の申し込みは一つの大きなステップ。しかし、この融資を受けるためには、審査時に「事業を行っている証明」が必要となる場合がほとんどです。その証明として求められるのが、開業届の控えです。
「まだ開業届を提出していない…」と焦ることがないように、今のうちにしっかり準備しておくことが大切です。これが、融資審査をスムーズに進め、事業の拡大を実現する鍵となるでしょう。
個人事業主が開業届を出す場合に注意したいこと
ここからは個人事業主が開業届を出す場合に注意したいことについて解説していきます。
失業手当を受け取ることができない
「開業届」を出すと、失業手当がもらえなくなります。これは、「開業届」を出すことで、お店や仕事を始めたことを知らせることになるからです。そのため、もう仕事を探している人(求職者)ではないと見なされるのです。
扶養から外れてしまう可能性がある
結婚していて、パートナー(配偶者)の扶養に入っている人が「開業届」を出すと、扶養から外れることがあります。これは、その人が入っている健康保険によって、次の2つのケースに分かれます。
・収入がある一定の額を超えなければ、個人事業主でも扶養に入れる
・自分でお店や仕事を始めた時点で、扶養から外れる
扶養に入っていると、健康保険料を払わなくていいですが、扶養から外れると、自分で健康保険料を払う必要があります。もし、開業後も扶養に入りたいと思っているなら、「開業届」を出す前に確認しましょう。
一定の所得を得たら確定申告が必要
個人でお店や仕事をしている人や、フリーランスの人は、1年間に48万円以上のお金を稼いだら、確定申告をしなければなりません。また、会社で働いている人でも、副業で1年間に20万円以上稼いだら、確定申告が必要です。
所得とは、仕事で得たお金から、かかったお金(経費)を引いた金額のことです。たとえば、副業で30万円稼ぎ、2万円の経費がかかった場合、28万円が「所得」となります。この場合は、確定申告をする必要があります。
もし、青色申告を選びたいなら、「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
まとめ
「開業届」とは、個人事業を始めたことを税務署に知らせるための書類です。提出することで、青色申告ができたり、事業用の銀行口座を作れたりするなどのメリットがあります。また、開業届を出すことで、仕事をしている証明にもなります。
しかし、提出すると失業手当が受けられなくなる場合や、扶養から外れることもあるので注意が必要です。事業を始める際は、事前にメリットや注意点をよく確認しましょう。
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[取材・編集 KROW編集部]
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