複業家インタビュー第2弾!福島県の農家をITで支える会社員にKROWが迫ります!

働き方・ワークライフ

現役の複業家を特集するKROW Mediaインタビューシリーズ。第2弾は耐久消費財メーカー社員の加藤 剛さんです。

加藤 剛さんについて

  • 所属 都内耐久消費財メーカー
  • 経歴・実績  ECサイト管理者、業務システム開発、子会社設立、新規開発事業等の経験を活かした経営サポート
  • 家族構成 奥様・ご子息2人(社会人、大学生)
  • 転職歴 なし

KROW編集部(以下KROW) 加藤さんは現役の会社員でありながら、コロナ禍の最中の2021年に複業を始められたと伺っています。本日はそのきっかけや心境の変化、実際に始められたあとのご苦労などについて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします!

加藤 剛さん(以下加藤) よろしくお願いします。

“会社員”が複業を始めるまで

いわゆる”普通の会社員”

KROW さっそくですが加藤さんのこれまでのキャリアについて、教えて頂けますか?

加藤 企業の中の情報システム部門の配属からのキャリアスタートですね。情報システム部門で約14年働いていました。その中で管理職になり、転機としては経営戦略本部という部署が立ち上がったタイミングで、そこから子会社設立の際の事業計画や経営企画などの業務に約10年ほど従事してきたことになります。

KROW ということは新卒から今まで転職のご経験はないのですか?

加藤 私は転職したことはありません。新卒からずっとこの会社に勤めてます。

”普通の会社員”が複業を考え始める瞬間

KROW なるほど。つまり加藤さんはいわゆる”普通の会社員”ってことですよね。そんな加藤さんが複業を始めようというマインドになったきっかけを教えて頂けますか?
学生時代からずっと複業をしてみたいと思っていたりとかしたわけではないですよね?

加藤 やはり一番の大きなきっかけっていうのは、コロナ禍になって自宅での自粛・待機期間が長くなりいろいろと考える時間ができたということ。
おそらく年齢的なこともあったと思うんですが、例えば「働く」ということに対しての考え方に思うところがありました。そのときにずっと考えていたことで、その後具体的に動こうと思ったときの大きなきっかけになってますね。

KROW 実際に一番最初に動きはじめたタイミングっていつでしたか?

加藤 実際に動き出したのは2021年の1月とかだったと思います。
時系列で整理してみると、2020年の4月くらいに非常事態宣言が出されて自粛期間に入りました。その直後に会社で週休3日制と副業制度が施行されました。
そこで初めて「副業(複業)という道もあるのか」という感じで気づいた感じです。
ただそのときはネットサーフィンでポチポチ情報をチェックするぐらいでしたね。

KROW コロナ禍までは、複業について考えたことはなかったんですか?

加藤 今取り組んでいるようなことをやろうっていうのは、まあ考えてなかったですね。

一番最初に始めたこと

KROW 確かにその時期は複業について考え始める人も多かったと思います。でも具体的に行動に移される方は多くないと思いますが、加藤さんは最初に何をされたんですか?

加藤 「サンカク」っていうサービスを見てみたんです。
もともとはお取引先の方がいろいろやっていて、社会人のインターンシップというものがあって面白いよと聞いていて。
その中に福島県の複業のビジネスマッチングサイトの登録っていうのがあったんですね。

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KROW 登録されたのはいつくらいのことですか?

加藤 2020年の秋くらいだったでしょうか。半年くらい考えていたことになりますね。

どんな複業をしているの?

最初の複業は果樹園のお手伝い!

KROW 複業のスタートが、サンカクを通じた福島県のビジネスマッチングサイトだったのですね。具体的にどのような案件だったのですか?

加藤 果樹園さんです。顧客からの受付の方法がなんと昔ながらのファックスが中心で、なおかつネット注文も非常に古いものだったので、それを一新しながら受注効率、作業効率を上げたいという課題に対しての応募でした。

KROW 具体的にはどれくらいのリソースでやられてたんですか?

加藤 土日メインで一日あたり3時間くらいですかね。
月に20時間弱を充てていました。2021年1月から始めて、実際にECサイトを立ち上げ、ローンチしたのが5月の頭くらいです。

その後、米農家のマーケティングへ

加藤 果樹園のあとは同じ福島県内のお米農家さんのマーケティングをさせて頂きました。福島のマッチングサイトから直接ご紹介を頂いた形です。

KROW 業務内容についてお聞きします。1件目の果樹園と同じようなお仕事だったのですか?

加藤 似たようなサポートでしたが、こちらの農家さんは少しIT化は進んでいらしたので主に事業計画や広告宣伝費の費用設定をしたりといった仕事でした。
また米の在庫管理をシステマティックにしたいという要望も頂いて、そのようなテーマをもとに事業計画の立案をサポートしました。

KROW 現地にも結構行かれたんですか?

加藤 基本はオンラインでの仕事になるのですが、東京から福島まで月に1回は行くようにしています。2つの農家さんなので、月間2回足を運ぶことになります。
何をしに行くかというと、生産・加工現場に行ったりすることもありますが、とにかくコミュニケーションを取りに行っています。対面でインタビューすることが大事だと思っていますし、何より楽しい。意識的に足を運ぶようにしています。
もちろんお酒も飲んで、温泉も入ってきますので本当に楽しいです。

KROW 米農家や果樹園はオフシーズンもありますが、その時でも現地に行くのですか?

加藤 はい。オフシーズンの間にお客様との関係構築のために、こういった営業しましょうか?みたいな計画を立てています。

複業を実際に体験してみて

「複業」のイメージについて

KROW 会社員一本だった加藤さんがいざ複業をやってみて、「複業」に対するイメージの変化はありますか?

加藤 もともと「複業」というとUBERイーツとかのような「時間と労力をお金に換える」というイメージしかなかったですね。どちらかというと「副業」のイメージです。本業が終わってから時給で稼ぐのが「ふくぎょう」だと思っていました。
実際に自分が関わってみると、もちろん時間も労力も使っているのですが、お金に換えているのではなく「価値」に換えている感覚です。価値は当然依頼主様への価値もなのですが、同時に自分にとっての価値も産んでいるように思います。

KROW なるほど、自分自身の成長が報酬の一部になっていると。

加藤 持論としていつまでも会社の施しを待っているだけではダメだと思っています。もし会社に継続して在籍したいのであれば、何かしらの価値を自分で作っていかなければならない。

KROW 福島の案件は会社の仕事にも繋がるところはあるのですか?

加藤 私は会社でも新規事業を立ち上げるような仕事をしているので、確かにこのような案件はつながる可能性はあるのですが、なかなか規模とか業種などを考えると直接的につながるのは厳しいと思っています。
一方で自分自身の視野は広がったと感じています。私は転職経験のないプロパーで入った人間ですから。やっぱり価値観だったり視野だったりというのは知らず知らずのうちに狭まってしまうものと感じています。

KROW 視野が広がったのは何が一番の要因だと思いますか?

加藤 やっぱり、福島の方々と繋がったのはっていうのが一番大きいですかね。
震災の被災者という立場の中で、変わらず事業を営んでいらっしゃる、そのアグレッシブさに非常に元気をもらいました。このように心を動かすような刺激だったり元気だったりというものはなかなか本業では得られない体験です。

KROW 報酬以外の部分に価値を感じていると。

加藤 はい、正直なところ報酬だけではそんなに喜びを感じられるわけではなく、それ以外の心理的報酬といいますか、会社以外のところで人の役に立てる実感が満足度として高いんです。複業に関してはその動機も非常に大きく占めていますね。

KROW すごく自己分析をされてますね!複業をする動機の源泉が見えて来ました。

加藤 もう少し掘り下げると、承認欲求ももちろんあると思いますし、自分のスキルが果たして付加価値があるのかどうかっていうことを確認・確信できる点が挙げられます。
自分が会社員として積み上げたスキルとして通用するかに関しては「通用した」と言い切れると思います。こういうことが確認できただけでもとても大きいです。

”関係人口”と”外貨”

KROW 単に複業をしているというだけではなく、地方との関わりという部分も大きな体験ではないですか?

加藤 やっぱり「観光で福島を訪れました、温泉に来ました」っていうのと「仕事を通じて知り合った人と一緒に温泉で話し合いました」っていうのは、全然違うんです。
「関係人口」って知ってますか?一般的には二拠点居住をする人や地域にルーツや愛着がある人などが該当するものですが、まさに愛着が湧いてきて”地元”に貢献がしたいという状態になります。

※編集部注
「関係人口」に対して「定住人口(そこに住んでいる人)」と「交流人口(仕事や旅行などで訪れる人)」があります。

KROW 月に2回も訪れていたらそうなりますよね。

加藤 はい。またお金の流れも意識します。私は「外貨」って呼んでいますが、福島県で手掛けている事業が運営してもらうお金は6割ぐらいが関東からです。関東からお金が入ってきて、そのいくらかを私とかにも支払っていただいて、そのお金で私は足を運ぶことで温泉入ったり、食事して地元にお金を落とすという循環があります。

これがただ観光に行くだけだったら、特に外から外貨を得ることなく終わりになってしまう。商売を通じて繋がるっていうのがポイントかなっていうふうに思ってます。

まとめ

複業とは”海外旅行”のようなもの

KROW すごく盛り上がっているところで申し訳ないのですが、お時間もそろそろなくなってきたのでまとめに入ります。
素晴らしいご経験をされている加藤さんですが、加藤さんにとって「複業」とは何ですか?

加藤 複業って「海外旅行」みたいなものだと思うんです。
どういうことかというと、僕自身が大学生になって初めてアメリカに行った時に、アメリカを知ったっていう以上に日本を知ったなみたいな部分があって。外に出てみて、日本はどれほど安全なのかと思った。安全の価値や日本で食事が美味しいなあとか、水が普通に飲めるとかすごいなみたいなことを思いました。

KROW とてもいい例えですね。私たちもすごく共感します。実際加藤さんが会社の外に出て仕事をしてみて、本業の会社に対する気づきとかってありますか?

加藤 ありますね。やっぱりある程度したいことをさせてもらえるような環境とか、設備っていうのが整っていることのありがたさであったりとか、おそらくこれがフリーランスの方とかであったら、そこから育てていかなきゃいけませんからね。本業の仕事も当然、うまくいかないことも多いですが、そんな中でもよっぽどのことがなければ、やっぱりsalary(給与)っていうのは入ってくるわけですから。

給与のことを心配せずに、仕事のことに邁進できることのありがたさっていうのは、やはり本業で勤めている人間だからこそ、味わえることですね。

コロナ禍だからこそ出来たこともある

KROW 逆に複業の難しいところってありますか?

加藤 おそらくこの数年間で、ここまで複業っていうのがいろいろクローズアップされたので、やっぱりコロナ禍だからこそできたと思うんですね。物理的な時間ができたとか、テレワークが推奨されたとか、やりやすい外的な要因ができたと思うんですよ。
ですのでこの先コロナ禍が終わって、あのコロナ前の状況になったときに複業制度を含め、同じように続くのかなっていうのは素朴な疑問として思ってます。

KROW 逆に我々からしたら、コロナ禍は基本的に嫌なんですけど、唯一よかったのはリモートワークの浸透ですね。しかし、コロナ禍が終わったらどうなるんだろうっていう。

加藤 実際問題として週5日出社前提の勤務に戻ると、2社の仕事をやるのは難しいかもしれないとは感じています。

これから複業を始める方へ向けて

KROW 最後にこれから複業を始めてみようと思う方に、何かアドバイス的なことがあればお願いします。

加藤 主たる目的を報酬に置かないことですね。まあ端的に言うと、それに尽きるんですけど。
目的を報酬に置いてしまうと、おそらく単発的な案件をずっと追いかけていくような形になると思うんで。それはおそらくいつか本業に支障が出ると思いますし、いつか追いかけるものもなくなってしまって、終わってしまうと思うんですよね。
いかに継続的な関係を築けるかとか、その継続的な関係を築くためには、何をすればいいのかとか。これは私たちのようないわゆるベテランになったら、当然考えていかなきゃいけないことでもあると思います。

KROW 金銭的報酬以外の心理的報酬ですね。このインタビュー中もそこが充実していて心底楽しんで複業をされている加藤さんの姿が印象的でした。
長時間のインタビュー、本当にありがとうございました!

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[取材・編集 KROW編集部]

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