【個人事業主】定年後に転身する|たいせつなのは段取り
昨今、人生100年時代と言われており、今のままでは年金が大きな危機に陥ることは明白だということで、高齢者の働き方について大胆な発想の転換が求められています。「75歳まで納税者になれる」社会構築をしていくべきとの意見です。日本の平均寿命がのびているだけでなく、昔と比べて60代、70代の体力は上昇しています。ITの発達は、在宅でできる仕事の幅を大きく広げています。会社員で定年を迎え、働き方を転換し個人事業主になろうとお考えの方がスムーズに移行できるように情報を集めました。個人事業主は、法人を設立せずに、個人で独立した継続的な事業所得を得ている人を指します。個人事業主として開業するにあたり、職業・業種に決まりはありません。
【個人事業主】なる前に何をすべき?
まず、「個人事業主」と「フリーランス」の違いを確認しておきましょう。
個人事業主は事業を営む個人を指す「税務上の所得区分」のことを指します。一方フリーランスは、企業と雇用契約を結ばず案件単位で事業を請け負う「働き方」のことを指す呼称で、税務上の区分とは関係ありません。個人事業主は税務署に開業届を提出した個人を示すものなので、法人化した個人は含まれません。一方、フリーランスは働き方を示す言葉なので、個人事業主のほかに法人化した個人も含まれます。
開業前にすること
- まず、思い立ったその日から、ひたすら領収書やレシートを集めましょう。開業前でも大丈夫。まだ会社を辞めていなくても大丈夫です。開業前に使った仕事関係の経費は、後に「開業準備費用」として確定申告に使用できます。
- 名刺を作ろう。会社員から個人事業主に転向したら、誰もがビジネスの代表者になります。自分のビジネスを知ってもらい、契約や取引に結びつけていくために名刺を活用していくことになります。営業、契約、打ち合わせなどでクライアントと顔を合わせることがあるでしょう。先方が名刺を出しているのに「名刺は作っていません」では失礼ですよね。独立までに名刺を準備することがおすすめです。
- 脱サラ組の方々は、絶対退職前にクレジットカードを作っておきましょう。開業直後は、外部機関からの信用が著しく低下するため、諸々の審査に通りづらくなります。
- 引っ越しを予定しているなら、退職前に契約しておくと安心です。
【個人事業主】なるには何が必要?
いよいよ、開業準備が整ったところで、開業してからすることです。
1.「開業届」を提出する
大事なのが「開業届」という書類です。個人事業主として新たに事業を開始したときは、管轄の税務署に原則として1ヶ月以内に開業届を提出し、手続きを行う必要があります。自分が事業の拠点とする所在地(自宅を事務所とする場合は住所地)の管轄の税務署は、国税庁のHPで調べることができますし、用紙はダウンロードできます。税務署に直接行って開業届を出したいと伝えればその場で記入して提出もできます。開業1ヶ月を過ぎてしまっても、事業が軌道に乗っていなくても必ず出しておきましょう。ちなみに、開業届はA4サイズで1枚、提出に手数料はかかりません。税務署に持参するか郵送も可能です。
2.【青色申告承認申請書】を「開業届」と一緒に提出する
初年度からさまざまな特典が受けられる青色申告を行うためには、青色申告の申請が必要です。確定申告は、青色申告(10万円控除または55万円控除、65万円控除)がお得です。55万円控除または65万円控除を受けるには、会計ソフトが必須です。青色申告承認申請書の「複式簿記」を選択して提出してください。なお、確定申告でわからないことがあれば、税務署に行けば職員が答えてくれます。2月以降に税務署で行われる「確定申告無料相談会」は、税理士に無料で相談できます。
3.国民健康保険と国民年金の手続きをする
会社員のときの健康保険証は退職と同時に返還することになります。ただし、会社の時の健康保険を任意継続する方法もあります。保険料は、自己負担になるので実質2倍になります。退職日に翌日から20日以内に加入する必要があります。国民健康保険に入るまでは無保険になるので注意が必要です。
ここで知っておいて欲しいことは、 国民健康保険に脱サラ組が1年目に支払う国民保険料は、前年の所得に応じて決まるので高額になる可能性もあります。
ほかに国民健康保険に入らずに社会保険に加入する方法は、収入が少ない場合は配偶者や家族の扶養に入ることがあります。ですが、これには条件があり、①年収130万円未満かつ、扶養に入れてくれる人の年収の1/2未満であること、②被保険者が三親等いないであることです。
もう一つは、職種が該当する場合に国保組合に加入することです。
国民健康保険、国民年金のともに自分が住んでいる市区町村区役所(年金は年金事務所でも可)で手続きができます。手続きに必要な書類は、
- 健康保険の資格喪失証明書・離職票
- 運転免許証などの本人確認書類
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 自分(+扶養家族)のマイナンバーがわかるもの
- 印鑑(シャチハタ不可)
概要は以上になります。
まとめ
会社員から転身して個人事業主になろうとお考えの方が、事業を始める前からすると良い準備のポイントを紹介しました。また、開業してから行う「開業届」「青色申告承認申請書」の同時提出がおすすめであること。「国民健康保険」「国民年金」の手続き関連の情報を集めました。個人事業主として開業する際、行動の参考になるでしょう。いずれにせよ一つ一つ自分で行っていくことが肝要です。
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[取材・編集 KROW編集部]
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