自分の市場価値に気づき挑戦した結果、3つの柱をもつ働き方に。

会社員向け

時代の変化とともに多様な働き方が可能になった現代。KROW Media では、そういった現代において「自分らしく働く」人にお話しを伺い、メリットや困難だった点をご紹介します。読んでくださる方にとって「一つの選択肢が増える」そんな記事になれば幸いです。
記念すべき第1回は、本業として企業に所属しながら、KROWを通して資金調達等に関する複業を行い、かつご自身でも起業されている山口さんにお話しを伺いました。

企業に所属するだけでは得られない「成長」を求めて

—現在の働き方やそれに至るまでのキャリア、KROWとの出会いを教えてください。

(左お写真:山口智史さん)
はい、現在私は3つの柱を持ちながら働いています。
1つ目は本業。こちらのキャリアスタートは製造業の会社での人事・総務・経理に関する業務でした。その後転職し、13年ほどIPO(新規公開株式)を準備している会社で管理部門と上場に向けた準備に携わっていました。そして今、6年ほど上場企業のM&A部門で働いています。

2つ目は、貴社を通してお受けしている複業です。仕事内容としては、資金調達をしたいと考える企業に対してそのお手伝い(事業計画作成など)や、IPO準備の支援代行をしています。

最後の3つ目は、自分で起業し、オリジナル知育玩具(ダンボール)の販売を行っています。これは前者2つのキャリアとは全く異なる業界ですが、その根底には「会社員をずっとやっていても自分には成長がない」という危機感がありました。
そして、自分で何かを始める(=オーナーになり責任を持つ)をしなければそれは払拭できないという考えに至りました。あとは、「自分だけのオリジナルなことをやってみたい」という願望ですね。これは就職してからずっと秘めていた思いでした。

複業案件を通して、オーナー社長*とお会いすることが多くあり、彼らとの会話から刺激をもらい、「自分もやってみよう」と踏み切ったんです。現在は、私が企画を行い設計などは外部の方に委託しています。
*オーナー社長・・・出資者としてその会社の所有権を有した者であり、経営権を有する者。対比としてよく「雇われ社長」が使われる。

貴社との出会いは、ネット検索です。複業のサービスサイトを探していたところ、M&Aなどの案件を扱う貴社に出会い、自分のスキルが活かせるのではと思い登録しました。

行動して気づいた、自分の市場価値


—今の働き方(複業)を選んだ理由や、きっかけを教えてください。

実は転職エージェントに登録していたことがあるのですが、その際に多くの引き合いがあり、「自分のスキル・経験が他社でも活かせるのでは」という考えに至りました。


あと、1社で会社員をしているだけでは、視野が広がらないという課題も感じていましたね。正直、一つの会社で正社員として働いていると多少のミスはカバーされる(許される)けど、業務委託は結果を出さないとリピートされないですよね。そういう厳しい環境に身を置くことで、自己成長できると思い飛び込んでみました。収入も増やせますしね。
一方で複業を始めることへの不安もありました。フリーランスとしての営業力や、クライアントワークでの対話力、実行能力が果たして自分にはあるのか?という不安です。クライアントとの会話を通して求められるものを提案したり、それを納期まで滞りなく実行していけるのか、といったところですね。なぜならば、私はそれまで事業部門ではなく管理部門にいたので直接クライアントと話すことがなく、対話力への自信がなかったんです。

—複業を始めて大変だと感じることは、ありましたか?

まず当初不安だった対話力は、半直接部門のM&Aの経験(本業における3社目)があり、複業先の社長と事業目線で話すことができたのでそこまで負担にはなりませんでした。また、IPO準備中に、証券市場に対して自社のビジネスの成長や優位性を説明する必要があり、ここでも心構えができていたと思います。
一方で本業の忙しさと、複業の期限が重なりあうシーンは大変でした。コントロールができませんからね。ここは自分の予定を調整(土日に各1日8時間稼働など)して対応していました。

複業をしたからこそ得られた新しい関係や知識、幅広い視野

—複業を始めてよかったと感じることはありますか?

思いつくのは4つほどあります。

まず1つ目は、1社で会社員として働くだけでは得られない広い視野を得られたこと。これは当初自分が抱えていた危機感でもあったので思惑通り、払拭することができてよかったです。
2つ目、これも当たり前ですが収入が増えたことですね。

また3つ目として、本業の仕事で活かせる知識が増えたこともよかったですね。法律や市場、特殊なビジネス用語など、これら新しい知識が増えたのは有り難いとも感じています。


最後に4つ目、これは想定外だったことなんですが、複業を通して案件(ビジネス)としてだけでなくオーナーや経営者自身と深い関係を築けたことです。例えば、1つの案件をご一緒している会社から「そういえばこれも頼める?」といった形で別の案件を紹介してもらったり、お繋がりのある社長をご紹介してもらったり。

大切なのは、スイッチの切り替えとそのための環境づくり

—今の働き方で気をつけていること、意識していること、山口さんの中で「複業」という働き方について教えてください。

個人的には、複業の品質と生産効率を上げるために、「いかに集中できる環境をつくるか」に気を配っています。これが最も重要だと考えています。疲れていたり集中できないと良い案・アイデアも浮かばない、でも期限は迫っている、そしてそこには結果も求められている。そういう状況の中では、「本気のスイッチをどこで、どう入れるか?」がとても大切だと思います。

私の場合は、自宅では仕事が進まないのでコワーキングスペースを使っています。自宅はリラックスする場所でありたいと考えているのもあり、コワーキングスペースや深夜の場合はファストフード店でやったりしてますね。まだまだ手探りな状態ですが、「本気スイッチへの切り替え」は重要ですね。

—これから挑戦したいことがあれば教えてください。

個人的には、現状の「サラリーマン+空いた時間の複業」ではなく、実質的な複業(週3本業+週1複業+週1別の複業)といった働き方をしたいです。あと、自分で起業したビジネスを伸ばしたいという思いもあります。
また「複業(副業)の方 × ひとり起業」の情報発信もしたいですね。一人だと起業(ビジネスを始める)ことは容易いんですが、一方で一人では圧倒的に知識が足りないと思うんです。だからそういった方々に向けて、必要な知識や経験をカバーできるようにしていくことでスムーズに進むよう手助けできればと思っています。

まずは、今いる場所で得意分野を探してみること


—最後に、複業をはじめようか迷っている人に向けてアドバイスをいただけますでしょうか。

私のようにどこかの企業に所属している会社員のかたが多いと思いますので、そういった方は、まず今いる場所(会社・職場)で自分の得意分野を探してみるのをお勧めします。複業の時に価値を出しやすいスキル、という観点ですね。まずはこれを5時間でも良いので始めてみる。直属の上司などに相談して新しい仕事をもらうのも良いと思います。


また、複業には対話力が大切だと感じています。これは社外において、ボランティアでも良いので参加してみると良いと思います。私の場合は、経営者や事業責任者などの壁打ち相手をさせてもらいました。そうすることで、対話から相手が何を求めているのか、何に価値を置いているのかわかるようになりました。

<編集部より>
本業、複業、起業と3つの柱をもつ山口さんは、どの柱においても貪欲でかつ忙しいからこそ時間の使い方や情報の整理がお上手という印象を受けました。また1つの会社に留まらず、様々な会社の条件や実際に働いてみることで「自分では気づかなかったスキルや得意に気づける」、という複業のメリットを改めて感じるインタビューでした。

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