フリーランスの契約書とは？種類や注意点を解説

フリーランスとして活動する際、契約書はトラブル防止や業務の明確化において非常に重要です。クライアントとの信頼関係を築くためにも、業務の範囲や報酬、納期などを契約書にしっかりと記載しておく必要があります。

しかし、契約書には業務委託契約や請負契約、準委任契約などさまざまな種類があり、それぞれの特徴を理解することが大切です。本記事では、フリーランスが知っておくべき契約書の種類やその注意点について解説します。

フリーランスが結ぶ契約書とは

ここではフリーランスが結ぶ業務委託や業務委託契約書を締結する目的・理由について紹介していきます。

業務委託とは

業務委託とは、企業や個人が自社の業務の一部または全部を、外部の事業者や個人（フリーランスや個人事業主など）に依頼する契約形態を指します。この契約は、雇用契約とは異なり、委託者と受託者の間に雇用関係は発生しません。受託者は業務の遂行や成果物の納品に対して報酬を受け取ります。

業務委託契約書を締結する目的・理由

業務委託契約書を締結する目的や理由は、まず業務内容の明確化が挙げられます。契約書により、委託する業務の詳細や範囲を文書化することで、双方の認識のズレを防ぎ、業務遂行中のトラブルを未然に防ぐことができます。

また、報酬や支払い条件についても、契約書に記載することで金銭面での問題が発生するのを避けることが可能です。具体的には、報酬の金額や支払いのタイミング、方法などを明確にすることが重要です。

さらに、業務委託契約書は、責任範囲を明確にする役割も果たします。万が一問題が発生した場合、委託者と受託者のどちらがどの部分で責任を負うかを明示しておくことで、スムーズな解決が図れます。これにより、双方が責任を押し付け合うような事態を回避可能です。

契約書を締結することで、万が一トラブルが発生した際に契約内容が証拠となり、問題解決が迅速に進む点も大きな理由です。また、契約書自体が法的に有効な文書であるため、双方の権利や義務を守るための法的保護を確保することができます。

以上のように、業務委託契約書を締結することは、信頼関係を築き、安心して業務を進めるために必要不可欠です。

フリーランスが結ぶ契約書の種類

ここからはフリーランスが結ぶ契約書の種類について紹介していきます。

業務委託契約書

業務委託契約書は、フリーランスが最も頻繁に結ぶ契約書の一つであり、業務内容や報酬条件を明確に定める役割を果たします。この契約書には、具体的な業務の範囲、納期、報酬の支払い方法、さらには契約期間や業務の修正に関する事項が記載されます。

契約書を交わすことで、依頼者と受託者の双方が業務に対する認識を共有でき、トラブルを未然に防ぐことができます。特に、業務範囲が曖昧な場合、後で追加業務が発生し、報酬に関してもめることがありますが、契約書があれば、そのリスクを減らすことができます。

また、報酬の支払い方法も明確にしておくことで、支払い遅延や不払いのリスクも回避できます。

秘密保持契約書（NDA）

フリーランスが業務を行う際、クライアントの機密情報に触れることがよくあります。このような状況では、秘密保持契約書（NDA）を結ぶことが非常に重要です。NDAは、フリーランスが業務を遂行する中で知り得た機密情報を第三者に漏らさない義務を明確にします。

特に、IT分野や新しい製品開発に関わる業務では、クライアントが外部に知られたくない情報が多く含まれるため、NDAが欠かせません。契約を締結していないと、情報漏洩があった場合に損害賠償を求められるリスクもあります。

NDAにより、フリーランスは自らの責任範囲を理解し、情報管理を徹底することが求められます。

フリーランスが契約書を結ぶ際の注意点

フリーランスという働き方が広がる中で、トラブルの件数も増加しています。ここでは、業務委託契約を締結する際の注意点をいくつか確認しましょう。

偽装請負に気をつける

業務委託契約で頻発するトラブルの一つが「偽装請負」です。偽装請負とは、社会保険料の折半や労働基準法の適用を回避するために、業務委託契約を結んでいながら、実際には労働者として働かせることを指し、問題となっています。

本来、業務委託契約は雇用契約とは異なり、業務の遂行や成果物の完成に対して報酬が支払われるものです。しかし、クライアントがフリーランスに対して勤務時間や休日を指定し、労務管理を行ったり、業務に対して指示・命令を出している場合、それは雇用契約とみなされる可能性があります。

業務内容や範囲

契約時に業務内容や範囲が明確でないと、後々クライアントとフリーランスの間でトラブルが発生することがあります。納品後に、クライアントから「この部分が足りない」と指摘され、フリーランス側が「そんな話は聞いていない」といった問題が生じることも少なくありません。

また、クライアントから追加料金なしで「これもお願い」「あれも頼む」と次々に依頼が増えるケースもよく見られます。

まとめ

フリーランスとして働く際、契約書はトラブルを防ぎ、業務を円滑に進めるために欠かせないものです。業務委託契約や請負契約、準委任契約など、契約書の種類や内容をしっかり理解し、業務範囲や報酬、納期、知的財産権の扱いなどを明確にしておくことが重要です。

また、契約時には細かな点まで確認し、不明点があれば事前に相談することがトラブル回避のカギとなります。適切な契約書の作成が、安定したフリーランス活動の基盤となります。

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[取材・編集　KROW編集部]