【注目の新事業インタビューシリーズ】スポーツビジネスの最先端!株式会社ネクストベース 中尾信一社長に聞く

インタビュー

KROW mediaの新シリーズ「注目の新事業」インタビューの第1回目は株式会社ネクストベースの中尾信一社長です。

株式会社ネクストベースはスポーツ界に急速に普及し始めたデータや動作解析をプロ野球チームや選手向けにコンサルティングしており、現在ではサッカーやバスケットボールなどのその他スポーツ向けサービスも拡大している注目の企業です。
今回、株式会社ネクストベース 代表取締役 中尾信一さんに新規事業に至る経緯と苦労についてインタビューすることができました!

株式会社ネクストベース
本社
 〒141-0033 東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー 9F
【NEXTBASE ATHELETES LAB】
 〒272-0834 千葉県市川市国分6-7-11
url:https://nextbase.co.jp/

2022.8オープンの最新鋭施設

スポーツの動体解析をする施設としては民間企業初!「すべてのアスリート向けの“スポーツ科学R&Dセンター”」をコンセプトとして世界最高レベルの機器が揃っています。

取材を申し込んだところ、完成間もないネクストベースアスリートラボでお話を伺うことができました。

ネクストベース・アスリートラボ屋内の様子。元巨人監督高橋由伸さんや現MLB吉田正尚選手からのお花が届いている。

中尾社長のあゆみ

K 中尾さんは千葉県の佐倉高校から立教大学野球部へ進学され、あの長嶋茂雄さんと同じルートでプロを目指していらしたんですよね。

中 はい。立教大学野球部ではチームメイトに元横浜ベイスターズの川村丈夫さんや元広島カープの広池浩司さん、元オリックス・ロッテの早川大輔と一緒でした。私自身もリーグ戦に登板できるところまでは行けたのですが、さらに上のレベルに行くためにはもう一段ギアを上げなければと思い、負荷を上げたところで肩を壊してしまいました。子供の時からの夢であったプロ野球選手には残念ながらなれませんでした。

株式会社ネクストベース設立まで

K プロ野球選手を目指していたところからキャリアを変更する経験はつらかったですね。学生時代から起業に関心があったのですか?

中 ご縁をいただき新卒でNTTに入社しましたが、当時はいつかは高校野球の指導者になりたいと思っていて、NTTに入社後の2年間で高校社会科の教員免許を取りました。入社3年目に本社への異動の話があったのですが、教員に転職するか迷っていました。その当時の先輩には「社会人経験がちょっとあるだけで『社会』を知ってるような顔をするなよ」と言われて妙に納得し、本社に異動することにしました。その頃はADSLなどブロードバンドが普及し始めた頃(2000年頃)だったのですが、異動したブロードバンドビジネス開発部には優秀な人がたくさんいて、今考えるとこの経験が非常に活きたと思います。

K 結構ガッツリとサラリーマン経験をされていたんですね。

中 気が付いたら11年在籍しました。結局35歳で退職し、いよいよ指導者を目指そうと考えたのですが、そのタイミングでNTT時代の同期の会社を手伝うことになりました。しかし、タイミングが最悪でして、2008年7月に退職してすぐに参画したのですが、この数か月後にリーマンショックとなり状況が一変しました。

詳細は刺激が強すぎるので割愛しますが、壮絶な苦労の後にデジタルサイネージが起死回生の一手として立ち上がりかけた矢先、今度は2011年に東日本大震災が発生。節電が求められデジタルサイネージには大逆風が吹き荒れました。前職でお世話になった先輩のご縁で出資の話がまとまり、どうにか乗り越えましたが、その時に「本当に自分がやりたいことを事業にしよう」と考え、2014年にネクストベースを立ち上げました。

その頃ちょうどアメリカではIoTデバイスのスポーツへの活用事例が出始めていたので、ビジネスチャンスになるなと思いながら日本のスポーツ市場の調査を進めていました。

K 起業当初からこの事業だったわけではなく、結構ピボットされていたんですね。

中 最初の2年間は一人で市場調査していたような会社でした。その時期に現取締役の木下さんと一緒にスポーツビジネスのネタを探すこともあり、たどり着いたのが「スポーツ科学」でした。

事業の転換点

K そのときにはどんな出会いがあったのですか?

中 もう一人の現取締役の神事(じんじ)さんとの衝撃的な出会いがありました。「リリースポイントが○cmずれるとこうなる」みたいなよくわからない話をする方がいる、ということで一度話を聞きに行きました。私は投手の感覚はありましたし、木下さんも慶應大学野球部で元巨人の高橋由伸さんと同期(副主将)で4番打者でしたから、スポーツの動作というものは自分たちなりに繊細な感覚を持っていると思ってました。それがことごとく覆されまして、野球におけるスポーツ科学の活用が常識を変える!と確信を持つことができ、ネクストベースの目指す方向が決まった感じです。
野球に限らず他のスポーツにもスポーツ科学は活用できると思い、他のスポーツの動作解析についても当初から応用することを考えていました。

ネクストベースの事業はプロ向けのデータ解析のコンサルティングからスタートしましたが、先ほど体験していただいたアプリのように中高生などアマチュアの方々にも使ってもらえるようなサービスを普及させていきたいと思っています。

K プロ野球へのアプローチは立大卒の中尾さんだからできた感じですか?

中 プロ野球界へドアノックできたのは木下さんのつながりが大きかったですね。初めの契約が読売ジャイアンツ、その後に阪神タイガース、中日ドラゴンズとお取引できました。いわゆる「トラッキングデータ」が取得できるようになったタイミングなのですが、各球団とも数字が羅列されているデータをどうしていいかわからなかったんです。それを解析してビジュアライズできる人がいなかった感じです。

事業再構築補助金の活用

K そういえば「アスリートラボ」には事業再構築補助金のシールがたくさん貼っていましたが、どのように活用されたんですか?

中 コンサルティングという形のないことを事業にしてきたのですが、いつか形のあるものにしたいと思っていました。動作解析をするためにまず計測をしなければいけないのですが、計測機器を持ち込んで対応していました。セッティングするのに2時間程度、測定して片付けるのにまた2時間というように、データを解析するために時間が掛かり過ぎていて、常設の測定設備があるといいなと思っていたのです。

大学の施設にはそういうところもあるのですが、どうしても学術研究目的になってしまい実用的なデータ解析は二の次になってしまう傾向があるため、民間初の専用動作解析設備を作ることには意義があると思っています。補助金を活用した施設ですので、多くのアスリートに貢献していきたいと思っています。

人材集めについて

K 事業再構築補助金の採択をはじめ、事業が拡大していくフェーズで人材の獲得がポイントになるかと思うのですが、そのへんはいかがでしたか?

中 スポーツに関わる仕事をしたいという方からご連絡をいただくことが多く、そのような熱意のある方を採用するケースが多かったです。
自分や木下さんもそうですが、安定した大企業に勤めていても「スポーツに携わる仕事をしたい」と言って転職を希望する方が多くいます。お陰様でそのようなご縁をいただいていて、アマチュア時代に輝かしい結果を残した元選手などが入社してくれています。事業がさらに拡大したタイミングではさらに多くの元アスリートと一緒にビジネスを大きくしていきたいと思っています。
今は野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなど他の競技の動作解析も検討を始めているので、「スポーツ」という軸で熱量の高い人とこの先も一緒に働けたらと思っています。

K 本日は貴重なお時間、ありがとうございました!これからの事業成長、そしてクライアントの野球選手のみなさまの活躍をお祈りしています。

(ご参考)KROW宮内の試し打ち結果

[取材・編集 KROWメディア編集部]

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