週休3日で最高益を記録!株式会社アジャイルウェア川端代表に聞く「人を大切にする経営」とその先の未来

インタビュー

複業(副業)やリモートワーク、週休3日制など、特徴的な働き方を実践している会社を紹介する「新しい働き方」インタビューシリーズ。第3回は、株式会社アジャイルウェア代表取締役CEO川端様にお話を伺いました。

週休3日制を取り入れながら2023年は最高益を記録。その秘訣は、「社員同士の信頼関係」と笑顔で話す川端代表からは「より良い社会にしていくために自分たちができること」についても熱く語っていただきました。

株式会社アジャイルウェア代表取締役CEO 川端  光義様

株式会社アジャイルウェア
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東京オフィス〒105-0011東京都港区芝公園1-8-20 H¹O芝公園1204
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事業の核となるウェルビーイングという概念

—アジャイルウェア様が取り組まれている事業について教えてください。

弊社はプロジェクト管理ツール「Lychee Redmine(ライチレッドマイン)」や、企業向けウェルビーイングサービス「KIWI GO(キウイゴー)」など、働く人を応援するサービスを提供しています。創業当初より、顧客満足と開発者満足を両立できるアジャイル開発*を行っており、その中でお客様の要望から生まれたのがLychee Redmineであり現在の主力事業です。
*アジャイル開発・・・短いサイクルで開発・テスト・フィードバックを繰り返し、迅速かつ柔軟にソフトウェアを完成させる開発手法

KIWI GOについては、コロナ禍もあり僕自身運動不足だったのですが、これは一個人だけの問題ではなく「社会の問題である」と感じ、運動支援の意味で始めたサービスです。その後「ウェルビーイング」の概念に出会い、上記サービスにグレードアップして運用を始めました。

働く社員の幸せを模索し、その中の一つの取り組みが「週休3日制」

—ウェルビーイング経営を目指し、様々なお取り組みをされていますが、今回はその中でも特にインパクトが大きい「週休3日制」について教えてください。

まず概要としては、「給与は現状のまま、隔週で週休3日で働く」というものです。僕らはそれを2022年8月から導入し、2024年には年間休日が153日*になっています。長く時間をかけて働くことが成果に繋がるのではなく、「モチベーションや集中力を持続可能な状態にすることがより良い成果に繋がる」と考えています。
*参考)労働基準法が定める最低日数は、年間休日105日

これも創業前から取り入れている「アジャイル開発」に起因しています。たとえば、以前取り組んだプラクティスの一つに「週40時間労働」というものがありました。当時のIT業界は、長時間労働、休日出勤は当たり前という過酷な労働環境でした。しかしソフトウェア開発は良いものづくりをするために、適切なペースの働き方をしていくべきだと思います。
年々欧州でも実績が増えていく中で、個人的には「週40時間が適切なのか」という疑問もあったため、それを検証する意味もあり、ウェルビーイング経営、つまりは「働く社員の幸せ」に繋がると信じて「週休3日制」を取り入れました。

制度ではなく、大切なのは「信頼関係」

—週休3日制導入後、2023年12期は最高益を達成されましたが、川端さまからみて「どのような点」が、プラスな成果に繋がったとお感じでしょうか?

実際のところ生産性が上がったかどうかはわかりません。週休3日制を導入したからといって、直接的にプラスの成果に繋がったわけではなく、これまでの様々な取り組みがあった上で「結果としてうまくいった」という感じです。弊社では創業当初より、ウェルビーイングに向けてフルフレックス制やフラットな会社作りなど様々な施策を行っています。

僕は基本的に「性善説」に基づいた考え方を持っていて、自由に働ける環境を提供することが良い方向に繋がると信じています。逆に社員を信用せず、サボっていないかをチェックするために厳しい勤怠管理を設けることは、良い結果に結びつかないと思います。経営陣が社員を信用すること、これが大切ですね。フラットな人間関係やお互いを信用できる関係性だから成り立つ制度・仕組みがたくさんあり、その積み重ねが今回の結果に繋がったと考えています。

誰一人取り残さない、「一人ひとりの幸せ」を追求

—今後、注力したい施策などはありますか?

今後もウェルビーイング経営を目指す上で、社内では「ウェルビーイング委員会」を有志で発足しました。社員のウェルビーイングを高めることを目的とし、独自のサーベイを行い、個々人のウェルビーイングが高まる要素を調査しました。ただ難しいのは、制度とは会社に属する全員に課すものである一方、個々人のウェルビーイングの要素は異なるため、制度によっては恩恵が受けられる人とそうでない人がいる、ということです。
たとえば、社員旅行を行う際、そういったことが好きな人もいれば、家庭の事情等で参加できない(それにより疎外感を感じる)人や、大人数の集まりが苦手な人は恩恵が受けられません。
そこで弊社では、そういった恩恵が受けられない人にもメリットとなるようなことを同時に考えています。

また、一人一人の意見に耳を傾けるため、1on1やメンター制度も取り入れています。
他にも「アジャイルウェアの未来を考える会」を発足し、匿名のアンケートを実施しました。辛辣な意見もありましたが、真摯に受け止め、僕自身もなるべく社員との時間をとるよう心がけています。
先日もチャリティーウォーキングイベントに参加し、歩きながら会話をすることで社員との交流を深めることができました。今後も花火大会を社員と観に行く企画をし、社員とのコミュニケーションの機会を増やす予定です。ただそれだけだと、特にエンジニアからはイベントが多すぎると不評な声もあるので、彼らとは少人数で話したり、個別で会食の場を設けるなどしています。

社員との集合写真

自分たちが模範となり良い影響を与えられるように。それがより良い社会への近道

—川端様が描く「社会(なりたい未来)」はどのようなものでしょうか?

僕は、2023年より「人を大切にする経営学会」という経営塾に参加しており、経営のあり方や様々な会社の視察をさせていただく中で多くの学びがありました。またそこで気づいたのは「社長一人が強い思いを持つのではなく、社員一人一人が自分の会社を「本当にいい会社だ」と思えるようになることが重要だ」ということです。そうした風土は年月をかけて作り上げていくものであり、僕もその姿を目指し、社員のウェルビーイングが高まれば業績が上がるということを証明していくことで、他の会社の模範になれたらと思っています。

弊社が社会に影響を与えるようなプロダクトを作り、イノベーションを起こして世界をよりよくしていこうとすると、それだけの時間や資金が必要になりますし、実現は容易なことではないと思っています。それよりも、「人を大切にする経営」を実行し広く伝えていくことで、多くの中小企業にいい影響を与え、同じように「人を大切にする経営」をする企業が増えることの方が、本質的に社会をより良い方向へと動かせる方法だと考えています。そのためにも、まずは「人を大切にする経営」の成果を示していけるよう取り組んでいきたいと思います。

(編集部より)誰一人取り残さず、社員一人ひとりのウェルビーイングを叶えられるよう本気で取り組む川端様の姿勢には学ぶことが多く、また「自分たちができること」を始めることが結果的に周囲を巻き込み、社会への大きな影響を与えることに繋がると改めて感じるインタビューでした。

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