事業再構築補助金の採択後の手続きについて解説!注意事項に気を付けて確実に補助金を受け取ろう!
近年複数回に渡り、事業再構築補助金の公募が行われています。補助金を求める事業者の多くは入念な準備のもと、申請を行うことでしょう。
申請後、希望通り補助金の交付候補者として採択を受けても、まだまだ必要な手続きは多く残っています。この記事では事業再構築補助金の採択後の手続きについて、各注意点とあわせて解説します。
事業再構築補助金とは
最初に事業再構築補助金の制度全体のおさらいと、注意点を解説します。
制度概要
事業再構築補助金制度は、コロナ禍で苦境に立たされた中小・中堅企業を支援する目的で開始されました。当初の公募ではコロナの影響による売上の減少などが条件とされていました。
近年では売上減少の条件は撤廃され、賃金の上昇や環境問題への取り組み、成長分野への参入など、社会情勢の変化にあわせてさまざまな条件が指定されています。
採択されても必ず補助金が受け取れるとは限らない
念願叶い補助金の交付候補者と認められても、その時点で補助金が交付されるのではありません。
詳細は後述しますが、補助金を受け取るためにはその後に交付の申請や結果を報告する必要があります。これらに不備があった場合、補助金が支給されない可能性があるのです。
採択後の手続きと注意事項
それでは、交付候補者として採択された後の手続きを流れに沿って解説します。
交付申請
採択された後にはまず交付申請を行います。この時点では、企業が提出した事業計画書の大まかな内容について審査をクリアした状況です。
しかし、細かい経費についてまで認められている訳ではありません。交付申請を通じて改めて経費の内容についても許可を得られるのです。
交付申請の期限
交付申請そのものには明確な期限はありません。しかし、補助金を取得するには事業完了日までに後述の報告書提出まで含めて全ての手続きを終わらせる必要があります。
具体的には採択された日から14か月以内、グリーン成長枠については16か月以内に完了させなければいけません。さらには交付決定から12か月以内に全ての事業を終わらせなければいけません。
もしも交付申請の手続きが遅れ、遅れた場合でも、手続きの最終期限は変わらず採択日から14か月後です。交付申請が2か月以上遅れると、その分事業を行う期間が短くなる恐れがあります。
必要な見積書
交付申請の際には、発注しようとしている経費についての見積書、見積依頼書、相見積書が必要です。
見積書は、申請しようとしている経費について全て必要となります。なお、見積に有効期限が記載されている場合は、発注日時点で有効期限内であるかも確認しましょう。
見積依頼書は、業者に対して仕様や納期、納入場所の指示の上、見積を依頼したことが分かるような文書を残します。
さらに1件あたりの見積合計額が税別50万円以上の場合は相見積が必要になります。相見積は見積書と項目を同一としなければなりません。
事前着手届出制度を利用する場合は忘れず申請
補助金は基本的に交付決定後に対象経費の発注を行います。しかし、事前着手届出制度の申請を行い、承認を得た場合は交付決定前の経費も補助の対象とすることが可能です。
事前着手届出制度を利用する場合は、事前着手の承認書を同時に提出しないと、事前着手届出制度の利用を予定していた経費が補助対象から外れてしまう場合があります。
交付決定通知・補助事業開始
交付申請が下りた場合、交付決定の通知があり、補助事業を開始できます。補助事業を開始してからの注意事項を記載します。
写真を撮影しておく
補助金で購入した一部の経費は、工事や納品の前後、作業途中の様子など、その経過を写真に残さなければなりません。
具体的には建物、機械、設備などが該当します。工事や納品前の写真は、完了後に取得することはできず、もしも撮影を忘れてこれらの写真を貼付できなかった場合、最悪の場合補助金が下りない可能性もあります。
それ以外にもホームページやECサイトを作る場合や、販促チラシなどの販促物を作成した場合も、完成後の写真を提出する必要があります。
変更があった場合は変更申請をする
交付申請を行ってから、申請内容に変更があった場合は実績報告の前に必ず変更申請をしましょう。
例えば登記の住所や法人名といった重要な内容から、補助事業が関わる建物の名称など小さな内容でも、極力変更申請をかけるようにしましょう。もしも申請を行わないと、実績報告の際に不備として指摘を受けるかもしれません。
もしも変更申請をすべきか迷った場合は事務局に問い合わせましょう。
実績報告
無事に補助事業が完了した後には、その事業の実績報告を行います。報告内容は補助金を活用した事業の内容や成果、対象経費が適切に取得され支払われているか、などです。
実績報告の期限
実績報告には期限があります。補助事業の完了日から30日経過、または補助事業完了期限日のいずれか早い方です。
補助事業の完了日とは、全ての対象経費の支払いが済んだ日を指します。この日から30日以内が一つ目の期限です。
補助事業完了期限日は交付決定から12カ月、または採択発表から14カ月の短い方です。交付決定時に事業所に送られた交付決定通知書に具体的な期限日が記載がされています。これが二つ目の期限です。
上記2種類のどちらか早い方が期限となるので、報告がこの期限より遅れた場合、補助金が下りない可能性があります。
補助金の入金
実績報告が完了したら、いよいよ補助金の入金に向けて手続きを行います。
実績報告の受理後には、事務局から補助金の額確定通知が届き、正確な金額が決まります。事業者はこの確定通知に基づき精算払請求書を提出し、その後、補助金が入金されます。
事業化状況報告
補助金を受け取っても、事業者にはまだ手続きが必要です。
補助事業についてどれくらい売上や利益があり、どのような効果があったかを報告する事業化状況報告を5年間行わなければなりません。
事業化状況報告の期限
事業化状況報告には期限があります。
法人の場合は決算月から3か月以内です。例えば6月末が決算日となる会社の場合、8月末には決算書が完成しているはずですので、遅くとも9月末以前に報告しなければいけません。
個人事業主の場合は12月末で締めとなるので、3か月後の3月31日以前に提出しなければいけません。
事業化状況報告に必要な資料
通常、法人も個人事業主も事業全体の損益計算書や貸借対照表を作成しています。事業化状況報告の際にはこれらに加えて、補助事業だけの損益計算書が必要となります。
これは、事業化状況報告の際に、その年度で補助事業がどの程度原価や売上、利益が発生しているかを伝えなければならないためです。
まとめ
以上、事業再構築補助金について採択後の手続きとその注意点を解説しました。
無事に補助金交付候補者として採択された暁には、確実に補助金を受け取れるように、慎重に手続きを行うことをおすすめします。
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[取材・編集 KROW編集部]
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