働き方改革とは 働き方改革の目的とは
少子高齢化社会の日本で、働き手の減少が懸念されています。それに伴い、育児や介護等の家庭と仕事の両立を必要とする声が増加していることも事実です。そんな日本で一人でも多くの人がより良い将来の展望を持って働ける環境を実現するために、平成28年安倍元首相が議長となり発足したのが「働き方改革実現会議」です。様々なバックグラウンドを持った人々がそれぞれの多様性を活かして働く機会を増やすこと。心と体の健康状態を保った上で意欲と能力を発揮できる環境づくりを実現することを目標としています。
平成29年3月に厚生労働省は「働き方改革実現会議」の成果として、「働き方改革実行計画」を発表しました。
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、
自分で「選択」できるようにするための改革です。
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
さらに、翌年の平成30年にはより具体的な働き方に関するガイドラインを企業・労働者に向けに作成しました。その後、社会情勢や働き方の変化に伴い、令和2年にルールをさらに明確化することを目的としたガイドラインの改訂が行われました。
この様に、近年働き方の変化とそれに伴う改革は注目されています。特に働き方改革実現会議発足後の数年間は予期せぬ環境の変化で日本だけでなく世界が混乱に陥りました。短期間で激しく変化する社会情勢に適応する上で働き方改革は必要不可欠だといえます。企業と労働者は働き方を見直す機会を積極的に持つ様になりより明確なルールが求められるようになりました。
有給休暇に関する法改正 有給休暇は何日取得できる?
働き方改革により労働時間法制が見直されました。具体的には、労働基準法、労働安全法、労働時間等設定改善法の改正が行われました。この改正の目的を厚生労働省は以下の様に発表しています。
「働き過ぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現します
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
労働時間に関する法改正は多岐に渡りますが、今回は特に有給休暇に注目して解説します。
そもそも有給休暇とは、正式には「年次有給休暇」と言い、1年ごとに決められた日数が与えられる休暇のことで、会社を休んでも通常通り給与が満額支払われる制度を指します。法改正前までは、給与を受給しながら仕事を休むという仕組みにより、制度を利用しづらいという問題がありました。さらに、労働者が有給休暇の取得希望日を雇用者に申告しなければ取得できない休暇だったため、年休取得率は国内でたったの51.1%でした。
そこで、働き方改革に伴う法改正により、労働者が少なくとも年に5日間の有給休暇を取得できるように企業に義務づけました。また、雇用者側が労働者に対して休暇所得の希望時期を聞くように制度が変更されました。
有給休暇を取得できる条件
それではどの様な人が有給休暇を取得できるのでしょうか?正社員しか取得できないのでしょうか?有給休暇の取得には条件があるのでしょうか?労働基準法では有給休暇取得の条件が明記されています。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、 一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければな りません(労働基準法39条)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
つまり、企業の正社員でなくても有給休暇の取得は可能です。しかし、正式名称が年次有給休暇というだけのことはあり、休暇の取得の条件として定められた日数の勤務が必要とされます。取得の条件は以下の通りです。
- 雇用された日から6ヶ月間継続して勤務している。(在籍期間が6ヶ月以上)
- 契約上の労働日(企業が定めた休日以外)の8割以上出勤している。
パート、アルバイトの場合は雇用契約上何日の出勤が義務付けられているか確認しましょう。特にシフト制の場合は要注意です。雇用契約上、出勤日数が明確に定められていない場合で以下の条件に当てはまる労働者は労働日数に対して有給休暇が付与されます。
- 労働時間が週30時間未満+週所定労働日数が4日以下 または
- 年間所定労働日数が216日以下
フリーランスの場合、有給休暇は取得可能なのか?
フリーランスや業務委託で仕事を受注している場合、基本的に有給休暇は取得できません。なぜなら有給休暇とは労働者に対して付与される休暇だからです。フリーランス=個人事業主。つまり、企業の労働者ではなく事業を行なっている人を指すため、有給休暇取得の条件に当てはまりません。勤務時間が自由というフリーランスのメリットとは裏腹に、有給休暇が取得できないことはデメリットとも言えるでしょう。
しかし、フリーランスや業務委託で複業をしている場合でも、有給休暇が取得できるケースがあります。それは、企業に籍を置き、企業と雇用契約を結びながら、勤務時間外で複業を行なっている場合です。その場合は通常の契約通り、企業は労働者に対して有給休暇を付与する義務があります。勤務先の企業で複業が禁止されていない場合は、有給休暇をうまく活用しながら複業を行うことが可能です。
まとめ
- 労働者が少なくとも年に5日間の有給休暇を取得可能
- 企業は労働者の有給休暇の希望取得日を聞く義務がある
- パート・アルバイトも有給休暇の取得が可能
- 有給休暇取得のためには規定の日数、勤務する必要がある
- フリーランス、業務委託の場合有給休暇は取得できない
- フリーランス、業務委託で有給休暇を取得したい場合は、企業に就職して複業を行う
以上が有給休暇に関する法改正と有給休暇の取得条件でした。雇用契約を確認し、有給休暇が適切に取得できているかしっかり確認してみてください!
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[取材・編集 KROW編集部]
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