免税事業者となる個人事業主の条件とは?消費税の仕組みとあわせて解説!課税事業者になった方が良い場合もある?

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免税事業者となる個人事業主の条件とは?消費税の仕組みとあわせて解説!課税事業者になった方が良い場合もある?

個人事業主として順調に売り上げを伸ばしていくと、やがて事業者として消費税を納める必要が生じる場合があります。

この記事では個人事業主としての立場から見た消費税の基本と、個人事業主が免税事業者となる基準やメリットについて解説します。

個人事業主にとっての消費税とは?

一般消費者の立場からも接する機会の多い消費税ですが、個人事業主から見た場合、どのような特徴があるのでしょうか。

最初に、個人事業主の消費税の基本を解説します。

消費税のしくみ

個人事業主にとっての消費税は、仕入先から商品を購入した際に支払う税金であると同時に、売上が発生した際に消費者から受け取る税金でもあります。

税金には直接税と間接税の2種類がありますが、消費税は間接税に当たります。個人事業主は消費者に代わり、受け取った消費税を所轄税務署長に納める必要があるのです。

納税額の計算方法:原則課税

消費税の納税額は、消費者から売上と共に受け取った消費税の金額から、仕入れの際に支払った消費税を差し引くことで求めます。これを原則課税と言います。

原則課税の計算例

例えばある個人事業主が、1月1日から12月31日までの売上が2,000万円(税別)、仕入費用が1,400万円(税別)であったとします。

計算式:売上2,000万円-仕入1,400万円=600万円 となります。

この600万円に対して消費税率10%を乗じた金額60万円を、個人事業主は消費税として納税しなければいけません。

納税額の計算方法:簡易課税

一定の条件を満たした個人事業主は、上記の原則課税より簡単な計算で納税額を求める、簡易課税制度を利用できます。簡易課税制度は、前々年度の課税売上高が5,000万円以下となる事業者のみが選択可能です。

簡易課税制度では、売上金とともに受け取った消費税の金額から、売り上げの消費税額にみなし仕入れ率を乗じた金額を差し引いた金額を納税額とします。

みなし仕入率は事業区分により個別に設定されており、例えば卸売業は90%、製造業は70%、不動産業は40%です。

各事業区分の仕入率は国税庁のホームページを確認しましょう。

簡易課税の計算例

例えば、卸売業の個人事業主を例とします。


1月1日から12月31日までの売上を1,500万円(税別)とした場合、この1,500万円に消費税率10%を乗じた150万円を、売上に係る消費税として受領します。受け取った150万円に、みなし仕入れ率90%を乗じた金額が、仕入れに係る消費税額となるのです。

計算式:売上1,500万円×10%=売上消費税150万円

    売上消費税150万円×みなし仕入率90%=仕入消費税135万円

    売上消費税150万円-仕入消費税135万円=15万円

以上の通り、この個人事業主は消費税として15万円を納税しなければいけません。

消費税を納めなくてもよい基準は?免税事業者の条件

上記の通り個人事業主にとっての消費税について解説しましたが、場合によっては個人事業主の消費税が免除される場合もあります。

以下、個人事業主が免税事業者となる基準を解説します。

免税事業者の基準:基準期間の課税売上高が1,000万円以下である

個人事業主の基準期間における売上高が1,000万円以下の場合、免税事業者となります。基準期間とはその年度の前々年度1月1日〜12月31日が対象です。

例えばある個人事業主が2023年度に免税事業者となるには、2021年1月1日〜12月31日の課税売上高が1,000万円以下でなければいけません。

免税事業者の基準:特定期間の課税売上高も1,000万円以下である

免税事業者となるには、基準期間に加えて特定期間の売上高についても1,000万円以下でなければなりません。特定期間とはその年度の前年度1月1日〜6月30日が対象です。

例えば、ある個人事業主の2021年度の課税売上高が1,000万円以下でも、2022年1月1日〜6月30日の課税売上高が1,000万円を超える場合は、2023年度は免税事業者となることはできません。

免税事業者の基準:開業から2年未満

開業から2年未満の個人事業主は、基本的に免税事業者となります。

これは開業2年未満の場合は上述の基準期間(前々年度)と特定期間(前年度)が存在しないためです。

免税事業者のメリット

個人事業主が上述の免税事業者の基準を満たしていた場合、下記のメリットが考えられます。

消費税が免除されることで利益が上がる

免税事業者となることで、納税の義務が無くなります。法人と比べて売上の少ない場合が多い個人事業主にとっては、消費税の納税額は決して小さくない負担となるでしょう。

納税額が減ることで、その分の利益の確保を期待できます。

免税事業者でも消費税は請求可能なため、益税になる

もしも免税事業者となった場合でも、消費者から売上金を受け取るときに、消費税を請求することは可能です。

この場合、免税事業者は受け取った消費税を納税する義務はないため、そのまま事業者の利益となります。これを益税といいます。

課税事業者のメリット

個人事業主の消費税と、免税事業者について解説しましたが、状況によっては課税事業者になった方が得をすることもあります。以下、例を挙げながら解説します。

還付金を貰える場合がある

売上で発生した消費税よりも、仕入で発生した消費税の方が高額となった場合、還付金が発生します。

例えば開業初年度に多額の設備投資を行った場合が考えられます。

また、輸出業の場合も、国内での仕入については消費税が発生しますが、海外での売上には消費税が発生しないため、仕入に係る消費税の方が大きくなります。

インボイス制度の影響で、取引先から歓迎される場合もある

2023年度から開始されるインボイス制度の影響で、課税事業者となった方が取引を維持、あるいは増加できる可能性もあります。

インボイス制度は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者から仕入れた分の消費税のみが、仕入控除の対象となる制度です。インボイス制度の登録を受けると自動的に課税事業者となります。

逆に、免税事業者である個人事業主から仕入を行った取引先は、仕入に係る消費税が差し引かれず、売上の際に受け取った消費税を全て納税しなければいけなくなります。

そのため、インボイス制度に未登録の個人事業主は、取引先から取引を敬遠される恐れがあります。

免税事業者でも、インボイス制度に登録し課税事業者となることで、既存の取引を継続、あるいは更に増加させられる場合も考えられます。

まとめ

以上、個人事業主にとっての消費税と、免税事業者の基準を解説しました。

免税事業者になる方が得か、課税事業者になった方が得をするのかは、個人事業主ごとの状況によります。

各自の事情にあわせて、適切な情報を集め、最もメリットのある選択をしていきましょう。

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