事業再構築補助金の最低賃金枠について解説!最低賃金引上げの背景や企業への影響もあわせて解説

補助金・助成金

事業再構築補助金の最低賃金枠について解説!最低賃金引上げの背景や企業への影響もあわせて解説

近年、政府は労働者の賃上げを目指し、さまざまな取り組みを行っています。その一環でコロナ禍の時勢にスタートした事業再構築補助金の一部として、最低賃金の引上げを条件とする申請枠を設けています。

本記事ではこの事業再構築補助金における最低賃金枠や、近年の最低賃金引上と予想される影響について解説します。皆様の一助となれば幸いです。

事業再構築補助金制度について解説

最初に事業再構築補助金全般についておさらいします。

概要

事業再構築補助金は、当初コロナ禍の影響で苦境に立たされた中小規模の企業を支援する目的で創設されました。これまでに10回以上公募が行われています。

公募ではこれまでにコロナ禍に伴う社会情勢の影響で、売上が大幅に減少した企業が支援を受けたり、政府が指定する成長産業や環境問題対策へ取り組む事業者が補助を受けたりしました。

全枠共通の要件

事業再構築補助金では全ての申請枠共通の条件として以下の二つが挙げられています。

一つ目は、事業再構築指針に沿った事業計画書を作成し、確認を受けることです。事業再構築指針は中小企業庁が発表しており、企業が新たな市場に飛び込む場合や、事業内容そのものを転換させる場合などについて定められています。また事業計画の確認は、弁護士事務所、税理士事務所、商工会、などの認定経営革新等支援機関から受けなければなりません。

二つ目は付加価値を上昇させることです。ここでいう付加価値とは、企業の営業利益、人件費、減価償却費を合算したものを指します。この条件だと、付加価値が上昇する場合は本業での利益が上がっているか、その利益を生み出すために人や物に投じられた費用が上がった場合です。企業が一定以上の価値を社会に与えることを条件としているのです

最低賃金枠ほか各類型

事業再構築補助金には様々な応募枠が設定されています。具体的には政府が今後発展すると考えている事業分野への取り組みを支援する成長枠や、特定の環境問題解決に取り組むグリーン成長枠などです。

上記以外にもその他多数の応募枠が規定されています。本記事の主題である、最低賃金の上昇で苦境に立たされる企業を支援する最低賃金枠は、第3回公募枠から追加されています。

最低賃金引上げの理由と影響

上述の通り、事業再構築補助金で最低賃金枠が創設されたのには理由があります。

これは、近年最低賃金の大幅な引上げが行われており、それに伴い企業への影響が増しているからです。

最低賃金引上げの背景

最低賃金とは企業から従業員への給与について、これ以上下回ってはいけない指針として定めるものです。最低賃金を設定することで、労働者の生活を保証すると共に、国民に消費を促し経済が発展することを期待しています。

近年の日本では急速かつ大幅な物価上昇が起こっています。そのため、労働者の生活を守るためにも、物価上昇にあわせた最低賃金の上昇が必要なのです。

具体的には、2023年度は昨年度に続き最低賃金が大きく上昇し、全国平均で1,000円を越える見通しです。

企業への影響:支払給料が増える

最低賃金の引き上げにより、企業にはどのような影響が起こるのでしょうか。まずは単純に、企業が従業員に支払う給与が上昇することが考えられます。

最低賃金に近い給与で働く従業員は勿論のこと、最低賃金の上昇は全労働者の給与の上昇へと波及する可能性が高いので、企業全体で支払い給与の負担が増えることが予想されます。

企業への影響:社会保険料の負担増

企業の負担が増えるのは支払給与だけではありません。健康保険、雇用保険、厚生年金といった社会保険料は従業員と事業主がそれぞれ負担しなければいけません。

負担する保険料率は、従業員が受け取る給与に概ね比例して高くなります。そのため最低賃金が上昇し、給料が増えれば、企業が負担する社会保険料も高くなります。企業としては少なくない負担増となるでしょう。

企業への影響:労働力の減少

最低賃金近辺で働く人々はアルバイトやパートなどの非正規雇用で働く人が少なくありません。これらの労働者は配偶者控除や社会保険料の免除のため、年間の給与を103万円や106万円、130万円といった基準額以下に抑えている場合があります。

最低賃金が上昇すれば一時間あたりの給与は上がります。そのため、年間の給与をこれまでと同額以下に抑えようとすれば、労働時間を減らさなければいけません。労働時間が減ることで、企業の労働力や生産能力が落ちることになります。

最低賃金枠の解説

以下、事業再構築補助金における最低賃金枠の具体的な内容を解説します。

要件:売上高の減少

最低賃金枠での補助が認められるためには、全枠共通の要件に加えて以下の要件も求められます。

一つ目は売上高の減少です。具体的には2022年1月以降の連続する6ヶ月のうち、任意の3ヶ月で売上高の合計が2019年〜2021年の同月比で10%以上減少している場合です。

例えば2021年の5月、7月、9月の合計売上高が3,000万円であり、2022年5月、7月、9月の合計売上高が2,600万円の場合、売上が約13%減少しているため、要件を満たします。

なお、売上高の要件が満たせない場合でも、同期間の合計付加価値額が15%以上減少してる場合は要件を満たすとされます。

要件:最低賃金近くで働く従業員の割合

二つ目の要件は最低賃金に近い給与で働く従業員の割合です。

具体的には2022年10月から2023年8月までの間で、自社の従業員の10%以上が、最低賃金+50円以内の賃金で働いている場合に認められます。

例えば従業員数40人の東京都内の会社が、2023年1月から継続して時給1,100円で働くパート社員が5人いる場合を考えます。なお、この社員は常時使用する従業員として認められる想定です。

2022年10月以降の東京都内の最低賃金は1,072円であるため、このパート社員達の時給は最低賃金+28円かつ、全社員の約12%であるため、要件を満たします。

金額と補助率

最低賃金枠での補助金額は最小で100万円以上です。従業員数に応じて最大金額が決まっています。

従業員数5人以下:最大500万円
従業員数6人以上20人以下:最大1,000万円
従業員数21人以上:最大1,500万円

補助率は中小企業等が3/4、中堅企業等が2/3です。

まとめ

以上、事業再構築補助金の最低賃金枠について解説しました。

実際に申請を検討する際には、公募内容をよく確認し、専門家に相談の上対応することをおすすめします。

「複業」をはじめよう!

KROWはこのようなご自身の持てる能力を広く社会に還元する(複業=Multiple job)意欲のある方をサポートしおつなぎしております。

現在会社員の方はもちろん、フリーランスの方、資格をお持ちの方、起業家の方など「真の意味の複業」を目指す人を募集しています!

[取材・編集 KROW編集部]

コメント

タイトルとURLをコピーしました